茶色の朝
こんにちは!
なおとです。
「茶色の朝」という本を知っていますか?
約20年前にフランスで発表された寓話です。
50ページ弱しかありませんが、非常に大切なことを教えてくれる一冊です。
10ヶ国語以上に翻訳され、フランスでは100万部を超えるベストセラーです。
簡単に内容を説明します。
茶色以外のペットを飼うことを禁じる「ペット特別措置法」が制定された社会に生きる主人公がいます。
主人公はその法律に違和感を抱きながらも、白黒の飼い猫を安楽死させ、茶色の猫を飼い始めます。
さらにこの法律に反対していた新聞も廃刊になり世の中には「茶色新報」という新聞社だけが残ります。
しかし、ある日自分の友人が茶色ではない犬を飼っていたということで逮捕されてしまいます。
ついには以前に茶色のペットを飼っていた人まで罰する法律ができてしまします。
そしてある朝、政府の人間が自分の家のドアを叩きます。
このとき主人公は次のように思います。
「政府の動きはすばやかったし、俺には仕事があるし、毎日やらなきゃならないこまごましたことも多い。他の人たちだって、ごたごたはごめんだから、おとなしくしているんじゃないか?」
主人公は決して悪いことはしていません。
ただ街の空気に逆らわないで過ごしていれば、面倒なことに巻き込まれることもない。
茶色に守られた安心、安全も悪くない。
このように主人公は考えていました。
茶色の染まっていく社会に疑問を感じながらも、抵抗しなければ自分に危害が加わることはないと思い、他人の痛みには敏感になっていました。
自分が逮捕されるときになって初めて気付くのです。
茶色に染まっていく社会の恐ろしさに。
この本を読んだときに私も主人公と同じだと多くの人が思うのではないでしょうか?
僕は大きな問題点があると思います。
少数派に対する配慮の欠如です。
茶色以外のペットを飼うことが禁止された社会では、その法律により罰せられる人がいました。
しかしそのとき、主人公を始めとする多くの人は法律に逆らうことなく順従に茶色以外ののペットをい飼わなかったので罰せられませんでした。
このときに行動を起こしていれば結果は変わっていたかもしれません。
実社会においてもマイノリティーに対して関心がなく、当事者だけが声をあげても少数派なのでその声は決して世の中には届きません。
左利きの人は逮捕しましょう。
LGBTの人は逮捕しましょう。
AB型の人は逮捕しましょう。
相対的貧困家庭は逮捕しましょう。
九州出身 者は逮捕しましょう。
こんなことを本当に言われたら、冗談じゃないですよね。
これに当てはまる人は各10%程度であると言われています。
つまり90%の人にとってはこの10%の人々が逮捕されても自分には関係ありません。
しかし、自分がその10%になったときに初めて気付くのです。
こんなはずではなかったと…
茶色の朝では、世の中が茶色に染まっていくという話でしたが、現実社会に照らしてみると同じようなことが起きていませんか?
多くの人にとって日本は従ってさえいれば住みやすい国です。
しかし、ときにはそれが危険な方向に進んでしまうこともあります。
大抵の大学生にとっては夫婦別姓問題や待機児童問題は現時点では関係がありません。
大抵の高齢者にとっては高等教育の無償化や奨学金問題は関係がありません。
ここにほんの少しの当事者意識があるだけで見えてくるものが違うのではないでしょうか?
フランスの政治を動かした「茶色の朝」
興味がある方はこちらから購入することができます。
こんな時代だからこそおすすめする一冊です。
11/13 記